2019年の年末、日産自動車の元会長カルロスゴーンが映画に出てくるような逃亡劇を繰り広げ世界中を騒がせていますね。
カルロスゴーンは2018年に逮捕・起訴されましたが、
- カルロスゴーンは一体何をしたのか?
- 逮捕理由は一体何だったのか?
今一度整理し、逮捕に至った経緯や逮捕されていた時から逃亡までの流れを時系列で総まとめしてみましょう。
カルロスゴーンは一体何をした?逮捕理由を時系列でまとめ
カルロスゴーンは、東京地検特捜部に異例の計4回にわたって逮捕されています。
カルロスゴーンは一体何をしたのか?逮捕された理由を時系列でみていきましょう。
一度目の逮捕理由
逮捕日:2018年11月19日
逮捕理由:報酬を少なく報告(金融商品取引法違反)
カルロスゴーンが初めて逮捕されたのは、2018年11月19日。
プライベートジェットで羽田空港に到着したカルロスゴーンを、待ち伏せしていた東京地検特捜部が逮捕しました。
カルロスゴーンの一度目の逮捕理由は、カルロスゴーンが日産自動車会長していた時の役員報酬を少なく株主に報告していたことでした。
企業のお金の使い方や経営状況が書かれた有価証券報告書には、カルロスゴーンといった日産自動車役員の報酬をきちんと正しく記載されていないといけません。
しかし2011~2015年の4年間カルロスゴーンが実際にもらっていた報酬よりも少なく記載されていました。
実際にはもらっていた報酬は80億円でしたが、有価証券報告書には40億円しか記載していませんでした。
カルロスゴーンは、有価証券報告書の虚偽記載をしたとして金融商品取引法に引っかかり逮捕されました。
どうして報酬を少なく報告するといけないの?
ではどうして役員報酬を少なく報告するのがいけないことなのか簡単に説明します。
日産自動車の株を買っている株主といわれる投資家は、日産自動車から経営状況や財務状況を正しく開示してもらうことで、企業の業績をチェックする役割を持っています。
企業が本来は大きな赤字なのに、報告書で「黒字で経営が安定しています!」と嘘をついてしまったら、株主である投資家を欺いた上に損をさせてしまいます。
「これは株主を貶める虚偽記載だからいけないことだよね」ということで、金融商品取引法違反で罰せられることになります。
同様に役員報酬額も正しく開示し、役員報酬が妥当な額かどうかを株主がチェックする機会を与える必要があります。
カルロスゴーンの役員報酬額が少なく報告されていたため、株主は正しい役員報酬額をチェックすることができず、カルロスゴーンは株主を欺いたとして逮捕されました。
報酬を少なく報告することは、報告しなかった分の所得税を納めていない可能性もあるため、脱税をしているかもしれないという疑いも出てきます。
カルロスゴーンは役員報酬を少なく報告したことはないと、逮捕理由を否定しています。
二度目の逮捕理由
逮捕日:2018年12月10日
逮捕理由:報酬を少なく報告(金融商品取引法違反)
カルロスゴーンが初めて逮捕されてから20日後の2018年12月10日、カルロスゴーンは再逮捕されることになります。
カルロスゴーンの二度目の逮捕理由は、一度目の逮捕理由と同じく報酬を少なく報告した金融商品取引法違反でした。
カルロスゴーンの一度目の逮捕は2011~2015年の4年分の報酬を少なく報告した虚偽記載の容疑でしたが、二度目の逮捕は2016~2018年の2年分の報酬を少なく報告した容疑でした。
カルロスゴーンが2016~2018年の2年間実際に得ていたとされる役員報酬は70億円でしたが、有価証券報告書には30億円と少なく記載していました。
カルロスゴーンは、二度目の逮捕理由についても無実であると主張しています。
どうして同じ逮捕理由で逮捕を2度に分けた?
気になるのが、カルロスゴーンが同じ逮捕理由で2度に分けて逮捕された理由ですよね。
それは、カルロスゴーンを拘留し取り調べる期間をできるだけ長くしたい東京地検特捜部の一つの戦略とされています。
一度の逮捕では警察は、一般的に20日間しか容疑者を拘留し取り調べることができず、それ以降は容疑者を釈放する必要があります。
東京地検特捜部は、カルロスゴーンをより長く取り調べることができるように、初めての逮捕から釈放期限にあたる20日後に同じ逮捕理由で再逮捕することにしたと考えられています。
実際にカルロスゴーン事件を捜査していた東京地検特捜部は、はじめてカルロスゴーンを逮捕する時点で、二度目の逮捕理由となった2016~2018年までの2年間の役員報酬を少なく報告したとされる証拠をほとんど集めていたとみられています。
三度目の逮捕理由
逮捕日:2018年12月21日
逮捕理由:会社に損害(会社法違反)
2度目の逮捕後、カルロスゴーンは保釈され2018年のクリスマスはキャロル夫人と過ごせるはずでした。
しかし2018年12月21日、東京地検特捜部はカルロスゴーンの三度目の逮捕に踏み切ります。
カルロスゴーンの三度目の逮捕理由は、日産自動車の資産や資金をカルロスゴーン個人のために利用して、会社に損害を与えたというものでした。
会社トップが会社の利益のためではなく個人の利益のために会社を利用して損害を与えた場合、会社法違反の特別背任罪という罪に問われます。
カルロスゴーンが会社に損害を与えたとされる具体的な内容は次の通りです。
- 2008年のリーマンショックが原因で生じたカルロスゴーン自身の私的な損失を日産自動車に押し付けて、自身の損失を”チャラ”にした。その額は約18億円。
カルロスゴーンはこの容疑について、否定しています。
四度目の逮捕理由
逮捕日:2019年4月4日
逮捕理由:会社に損害(会社法違反)
3度目の逮捕から保釈されたカルロスゴーンに待っていたのは、さらなる逮捕でした。
2019年4月4日、東京地検特捜部はカルロスゴーンを3度目の逮捕理由と同じく会社法違反の特別背任罪の容疑で逮捕します。
4度目の逮捕理由となった会社に損害を与えたとされる具体的内容は次の通りです。
- オマーンにいるカルロスゴーンの知人が経営する販売代理店に、裏ルートを通じて日産本体から資金を支出させ日産に損害を与えた。その額は2012~2018年の6年間で約35億円と言われている。
カルロスゴーンは、日産本体から支出させた資金の一部を自身の懐に入れていた疑いがありますが、カルロスゴーンは容疑を否定しています。
カルロスゴーンが逮捕されていた時から逃亡まで 時系列でまとめ
2019年に年末、カルロスゴーンはプライベートジェットを使って日本から国籍のあるレバノンへ逃亡して、注目を集めています。
カルロスゴーンは自身の意見を主張する会見を開いたり、フランスから逮捕状が出るのではないかといった噂もあり、今後もカルロスゴーンの話題が尽きないでしょう。
ここからは逮捕・保釈されてから、逃亡劇を繰り広げるまでを時系列でまとめていきます。
保釈保証金は15億円!
カルロスゴーンは4度目の逮捕の後、2019年4月24日に保釈されます。
保釈時に裁判所に納める保釈保証金は総額15億円と高額であったため、注目されましたね。
保釈の条件には、さまざまな制限が設けられました。
- パソコン利用は、弁護士事務所のもの以外利用できない
- 携帯電話はインタネット接続ができない1台しか利用できない
- 住居は東京にある自宅に制限
- 海外渡航禁止
- キャロル夫人との接触禁止
カルロスゴーンは保釈された身となっても、自分の無実を主張する機会や家族と会う機会を奪われていることに、かなりの不満を持っていたとされています。
保釈されたときから、日本からの逃亡計画の準備を着々と進めていたのでしょうか?
許可されたパソコンで逃亡計画?
カルロスゴーンは逃亡するまでの間、裁判所から許可された弁護士事務所にあるインターネットに接続されたパソコンを利用していました。
このパソコンを通じて、逃亡劇の協力者と連絡を取り合っていたのでしょうか?
ちなみにカルロスゴーン逃亡後、東京地検がカルロスゴーンの使っていたパソコンを任意で押収しようとしましたが、弁護士事務所は受け渡しを拒んでいます。
カルロスゴーンが唯一利用できた弁護士事務所のパソコンに、逃亡劇の詳しい計画が隠れているかもしれません。
2か月前から逃亡シミュレーション?
カルロスゴーンの逃亡にかかわった逃亡協力者は、アメリカ国籍の2名とされており、いずれも逃亡計画のプロだそうです。
大金持ちのカルロスゴーンだからこそ雇うことができるプロの逃亡協力者がついていたんですね。
2019年10月ごろから、カルロスゴーンの逃亡協力者は日本からの出国の抜け道を入念に調べていたようです。
プロの逃亡協力者は、プライベートジェットを利用でき抜け道のある空港を探していたところ、関西空港の手荷物検査が緩いところに目をつけたようです。
カルロスゴーン 逃亡当日の足取り
自宅から品川駅へ
2019年12月29日、カルロスゴーンは日本から逃亡するためにいよいよ自宅を出ます。
カルロスゴーンは逃亡協力者と東京都内のホテルで落ち合い、タクシーで品川駅へ向かいます。
新幹線で大阪へ
新幹線で新大阪駅に向かいました。
カルロスゴーンは新大阪駅からタクシーに乗り、関西空港近くのホテルに立ち寄ります。
関西空港から身を隠して出国
夜になってカルロスゴーンは、コントラバスケースと思われる大きなケースに身を隠して、関西空港に駐機していたプライベートジェットに乗りこんで日本を脱出しました。
プライベートジェットの荷物検査は、法律で制限がなく機長の判断で行われるという、日本の検査体制の甘さをうまく通り抜けた逃亡術を展開しました。
カルロスゴーンの逮捕理由や逃亡から現在まで まとめ
- カルロスゴーンは、金融商品取引法違反で2回、会社法違反(特別背任罪)で2回の計4回逮捕
- カルロスゴーンの保釈保証金は15億円
- 保釈条件が厳しく、カルロスゴーンは不満を持っていた
- 2019年年末、荷物検査の穴をつき関西空港からプライベートジェットで日本から逃亡
カルロスゴーンはレバノンに逃亡したことで、自らの主張を自由に発信できるようになりました。
カルロスゴーンは日本での逮捕は日産と日本政府関係者の陰謀であると主張しており、今後その内容を暴露するとみられており注目です。
一方でフランス検察は、カルロスゴーンを外為法違反で訴追する可能性を示唆しており、そうなった場合レバノン政府はどのような対応を取るのかも注目されます。
今後もカルロスゴーンの話題は尽きそうにありません。